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台湾のグルメ系ウェブサイト 「Mingchu」 に、ブルーフェスの記事が掲載されました。

台湾のグルメ系ウェブサイト 「Mingchu」 に、ブルーフェスの記事が掲載されました。執筆は、食文化研究者・作家であり、台湾ミシュランガイド特約ライターでもある Mokki Hsiao(モッキ・シャオ)さん。
▼記事はこちらです。https://www.mingchu.io/dining/article/1401

日本語翻訳もご用意しましたので、ぜひご覧ください。

日本のシェフが集結 ― 海の未来を食べる晩餐会へ

著者:Mokki
8年の準備を経て、初の合同ディナー開催

Chefs for the Blue は、さまざまなジャンルの料理人が生産者や研究者とともに活動を行っている。 
Chefs for the Blueは、2017年にフードジャーナリストの佐々木ひろこ氏が設立した団体。日本の海の持続可能性と食の美味しさを守るため、志を同じくするシェフ、生産者、研究者、飲食業関係者らが集まり、一般社団法人として活動。
佐々木氏は取材を通じて、築地市場で魚のサイズが小さくなり価格が高騰している現状など、海洋環境の変化を実感した。シェフや漁業者と共に水産資源の問題を学び、活動を展開してきた。

「四方を海に囲まれた日本は、昔から水産資源が豊富にあると当然のように思いがちですが、2018年の漁獲量は439万トンと、1984年の1,282万トンのわずか3分の1です。『魚はいつでもある』という考えはもう通用しません」と語る。

こうした意識は、今の時代だからこそ強く響く。例えば今年7月、北海道のサンマ初競りでは1キロあたり888,888円という値段がついた。これは5年前の2021年の初競り価格140,400円の6倍以上。
気候変動や海水温上昇で回遊ルートが変わり、各国の漁船が競い合う中、かつて庶民の味だった秋刀魚が高級料亭で名声を競うための食材になってしまった。

豪華メンバーによる「The Blue Feast」

Chefs for the Blue の理事は、まさに錚々たる顔ぶれ。「日本フレンチ界の帝王」と称され、日本人として初めてミシュラン三つ星を獲得した岸田周三シェフ、Sincère の石井真介シェフ、アジアのベストレストラン50にも選ばれた京都 Cenci の坂本健シェフ、「パパ料理」を提唱し菜食レシピ本も出版した No Code の米澤文雄シェフなど、日本の料理業界を代表する精鋭たちが名を連ねている。

彼らは、漁業や流通の整備、魚食文化への啓発、資源管理行政との連携などを通じて、業界全体の海洋サステナビリティへの意識を高めている。具体的な取り組みとしては、人材育成のためのコミュニティー「The Blue Community」(2025年には第3期生を募集予定)の運営、低利用魚を活用した商品の開発、そして飲食店同士をつなぐコミュニティづくりなどがある。

創立から8年、ついに世界海洋デー(6月8日)に合わせて30名のシェフが集まり、初の合同ディナー「The Blue Feast」を開催。各ジャンルのシェフ達が「美味しくて、海にやさしい一皿」をテーマに、国際漁業認証を受けた大西洋クロマグロ、資源管理に尽力する漁業者が獲った水産物、資源が豊富な魚種、さらに低利用魚などを使い、この日のために心を込めたお魚料理を創作してきた。

この30人のシェフの中には、新しいスタイルの中華料理を提案するミシュラン三つ星レストラン「茶禅華」の川田智也シェフや、長年にわたりTabelogの百名店に選ばれ、「東京で最も予約が取れない寿司店」と称される日本橋蛎殻町すぎたの杉田孝明さんなどが含まれており、その豪華な顔ぶれがうかがえる。
これらのシェフたちは江戸前寿司、鰻料理、フランス料理、イタリア料理、和風中華、新しいスタイルの料理など、さまざまなジャンルに精通しており、出身や育ち方は異なるかもしれないが、海の魚食の持続可能性に対する共通の意識を持っている。

本イベントの1週間前、「Chefs for the Blue」の代表理事および理事メンバーは、政府の関係省庁へ表敬訪問し、農林水産大臣の小泉進次郎氏とも面会した。海の持続可能性をテーマに直接対話が行われ、メディアでも広く報道された。

会場と雰囲気

これまで「Chefs for the Blue」の背景や紹介をたっぷりとお伝えしてきたが、読者の皆さんが一番気になるのは、やはり当日の食事会で何を食べたのか、という点ではないだろうか。この豪華なシェフ陣による料理が、なんと22,000円という価格で提供されたのだ。一体どんな料理が、そして誰と一緒に味わったのか?

会場は東京大学のサステナブル学生食堂「Dining Lab 食堂コマニ」。この学生食堂は、普段から「産地から食卓へ」という理念を掲げ、食事を社会教育やコミュニケーションの場ととらえている。厨房から客席までぎっしりとシェフが並び、1人あたり約1.5メートルほどの限られたスペースで腕を振るった。
飲み物は日本ワイン、日本酒、ウイスキーが中心。参加者たちは学生食堂のテーブルに着席し、実際の食事時間はおよそ2時間ほど。その間に短いトークセッションもあり、海洋の持続可能性に関心を持つ人々が一堂に会して交流できる絶好の機会になっていた。

筆者が着席した四人掛けのテーブルには、日本版『WIRED』誌の編集者、海洋生態系の教育活動に従事する通称「昆布博士」、そして食品メーカー・味の素の上級幹部が同席しており、美食や美酒はもちろん、海洋環境や水産資源の未来に至るまで、多岐にわたる知的対話が繰り広げられた。

忘れがたい魚料理の数々

限られた時間内に、約30品もの料理をすべて食べるのは不可能。計画的に配分を考える必要があった。

食堂の中央スペースにいたのは、握り寿司の名手たち三名 —— 恵比寿「えんどう」の遠藤記史さん、日本橋蛎殻町「すぎた」の杉田孝明さん、そして「鮨やすみつ」の綿貫安秀さんが、大西洋クロマグロを使った数量限定の握り寿司を提供し、あっという間に長蛇の列ができた。

一方、「茶禅華」の川田智也シェフは、白エビと伊勢エビを詰め物にした非常に豪華な手羽先を披露。彼の卓越した技術が光る料理であり、外側に青のり粉をまぶし、皮はパリッと、中の鶏肉と餡は驚くほどジューシーで弾力があるという、日常の学生食堂とは思えない完成度。まさに中華料理の真髄を表現した逸品であった。

特に印象に残った料理は、「慈華」の田村亮介シェフによるもの。低利用魚であるアオザメを使った麻婆魚肉豆腐で、ふんわりとした純白のサメ肉が麻婆ソースと絡み、食感は抜群。花椒のしびれる香りとコクのある醤の風味がサメ特有の匂いを和らげる、非常に巧みな組み合わせだった。

また、「Sincère」の石井真介シェフが作った大型のフレンチ風スズキのパイ包みは、会場で焼き上げられ、外は香ばしくパリッと、中はふんわり柔らかで、とても食欲をそそる一品。

京都の新感覚フレンチ「MOTOÏ」は、雑魚を使った焼売を提供し、「Indie Fish 焼売」というクールな名前を付けました。まるでインディーズ音楽やアンダーグラウンド映画を思わせる、ロックで遊び心あふれるお料理。

同じ列では、他にも魚肉ソーセージのホットドッグ、クレープ、鯛カツバーガーなども登場し、お客さんと交流しながら気軽に楽しめるメニューが並んでいた。

シェフたちは魚だけでなく、「海藻」の新たな可能性にも挑戦。「そ / s / KAWAHIGASHI 」の中東篤志シェフは、クサウオと福井県産の昆布を組み合わせた料理を披露。別のシェフは、さまざまな種類の海藻を焼いて乾燥させた一品を提供した。
低利用魚の一例として、「Cenci 」の坂本健シェフはエイを米麹で漬け込み熟成させ、生姜ときゅうりの酢飯と合わせた料理を考案。「Bistrot 64 Japan 」の能田耕太郎シェフは、イタリア料理の手法を用い、エイとカリフラワーでローマ風スープを。

海の幸だけでなく、内陸の淡水魚にも注目が集まっていた。「Don Bravo 」の平雅一シェフは、北海道の天然マスを使ったイタリア風冷製パスタを、「御料理ほりうち」の堀内さやかシェフは、淡水のシジミと野菜を組み合わせた素朴でやさしい味わいの和風麺を提供。

この会では、できる限り多くのシェフの創作料理を味わいながら、同席者と会話を楽しみ、トークセッションを聞くという、とても充実した時間が流れていた。
会場にはシェフ、ソムリエ、漁業関係者、流通業者、レストラン経営者、飲食業界関係者、メディア、そして美食愛好家が集い、美味しい料理と語らいの中で、「海の魚食を持続可能にしていく」という共通の価値観を共有し、一致団結した場となった。