これまで

日本の海のいま

日本は水産王国で、私たちは今も昔も豊かな恵みを享受している」 ― そう信じている人は多いのではないでしょうか。
でも実は2019年の総漁獲高は416万トン(※1)。ピークは1984年の1,282万トン(※2)ですから、この35年で、漁獲高は1/3以下になりました。令和元年版「水産白書」によると、日本周辺水域の資源評価対象魚、50種84系群のうち、49%が資源水準「低位」。SDGsの17のゴールのなかでも、最新の”Sustainable Development Report 2021”(※3)で指摘された日本の深刻な課題のひとつが14番「海の豊かさを守ろう」です。 ※1:農林水産省統計部「漁業・養殖業生産統計」
※2:令和元年度版『水産白書』
※3:SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)と独ベルテルスマン財団が毎年6月に発表している報告書で、国ごとにSDGsの達成度を点数化する。2021年度版で指摘された日本の最も深刻な課題は、⑤ジェンダー平等、⑬気候変動、⑭海の豊かさを守ろう、⑮陸の豊かさも守ろう、⑰パートナーシップの5項目。

図
picture:媒体コラージュ

ターニングポイントは今

(2020年12月に改正漁業法が施行)

日本の水産資源減少の要因は多岐にわたりますが、なかでも自然の再生産能力を越えた過剰漁獲の影響が度々指摘されてきました。 欧米には漁獲量規制等により数が回復した例もある一方で、日本のこれまでの水産資源管理システムでは、減少を止められない魚種が多くあったのです。

そして2018年12月、漁業法が70年ぶりに改正され、「持続可能性」が法律に組みこまれました。この改正漁業法は2年間の準備期間を経て2020年12月に施行され、具体的に目指すべき目標値やそこにいたる工程を示したロードマップも、水産庁から発表されています。

ただし、この法改正が漁業現場にドラスティックな変化を起こすためには、漁業者や流通業者はもちろん、わたしたち消費者や飲食店、流通業も含めた社会が現状をきちんと理解し、サステナブルな取り組みを支持し、ともに産業を支えていくことが不可欠です。

picture:媒体コラージュ
これから

サステナブルな海と
明るい食の未来を目指そう

イラスト:sustainable fishing
  • 獲りすぎない(天然魚の場合/資源評価や管理ができていて、ルールを守った漁業で漁獲されている)
  • 海の環境や生態系を傷つけない
  • 漁師コミュニティや地域社会を守る

大切な海の恵みをこの先もずっと楽しむために、漁業者の努力はもちろんのこと、資源や環境が管理された漁業で漁獲される魚、環境負担が少なく地域社会に配慮した養殖業で生産される魚を、できるだけ扱おう、使おうという社会の動きは欧米の多くの国々で進んでいます。

料理人は「生産者」とも「消費者」とも結ぶ手を持ち、食の世界に大きなメッセージを発信できる立場にあります。海の問題を社会に伝え、共に新しい消費様式をかたちづくっていくために、今後も活動していきます。

わたしたちの活動