C-BlueメンバーインタビューVol.15は、「コンヴィヴィオ」辻大輔シェフです。活動に参加するようになったことで、海の問題に限らず、自然環境や社会課題にも意識が向くようになったといいます。「微力でも、自分にできることを」と、アクションを積み重ねています。


2017年にChefs for the Blueの最初の勉強会に参加した時の事を今でもよく覚えているという「コンヴィヴィオ」の辻大輔シェフ。「想像もしていなかった事実を突きつけられて、とにかく驚きました。イタリアで修業をしていた時は、日本が海に囲まれ、魚介類に恵まれた国であることを散々自慢していたのに、ここまで絶滅危惧種が多かったなんて」。

以来、魚の選び方が変わったと言います。インターネットで日頃使っている魚の産卵期を調べ、その時期を避けて仕入れるようにしたり、イクラや香箱蟹など魚卵や蟹卵の使用は控えるようになりました。「以前は毎年カラスミを自家製して、お客様の目の前で削るサービスをしていたのですが、トリュフなど他の食材で楽しんでいただくようにしています」。

この数年は養殖にも注目しています。2020年にはChefs for the Blueの活動の一環で、岡山県邑久市で日本初のマガキMSC認証を取得した「マルト水産株式会社」を訪問しました。

邑久町漁協と協力して漁業環境を豊かにする取り組みを進めてきたマルト水産。種付けから養殖までを地元海域だけで一貫して手掛けていることや、カキ殻を農業用の土壌改良材として再利用していることが評価され、2019年に認証を取得しました。カキ養殖業者のMSC取得は、海上いかだに吊るして育てる垂下式では世界初の快挙だとか。

認証取得のセレモニーでは、辻シェフが瀬戸内海に浮かぶ牡蠣いかだや島を表現した華やかなプレゼンテーションを披露し、会場を沸かせました。

「認証を取得し、維持し続けることがいかに大変か、お話を伺ってよくわかりました。それでも海の環境を守るために取り組まれているのは本当に素晴らしいことですよね。今、僕の店ではラザニアに使っています。北海道のミルキーな牡蠣とは違い、磯の旨味が強い牡蠣。とてもおいしいですよ」。

Chefs fot the Blueの活動に参加するようになってから、海に限らず自然環境を取り巻く問題や社会課題にも意識が向くようになったという辻シェフ。最近は、おからが大量に廃棄されている現状を知人のSNSで知り、料理に活用するようになりました。近隣の豆腐屋からおからを買い取り、生パスタやフォカッチャ、クッキーなどに使っています。

また、テイクアウト用のボックスもプラスチックから紙にできないか検討を重ねたそう。「まだ納得できるものには出会っていませんが、やってみないと次に繋がらないので」。

「料理でお客様を楽しませることはもちろんですが、社会のために役に立てることがあればと前々から思っていました。今、それが少しずつではあるけれど、実現できているのかなと思います」