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メンバーインタビューVol.25 御料理ほりうち 堀内 さやか

「食べない、使わない、ではなく、食べ続けるためにはどうしたらいいか──。食材を使うことを通して考え続けています」

C-BlueメンバーインタビューVol.25は、「御料理ほりうち」の堀内 さやかさんです。独立してまもなく、Chefs for the Blueに出会いました。サステナブルシーフードについて「何も知らなかった」という時期を経て、いまでは水産庁が定期開催する水産政策審議会をオンライン視聴することが当たり前に。堀内さんは、Chefs for the Blueの活動に参加して「自分の料理が変わった」と話します。

「何が起きているの? 戦争のようだと思いました」。2017年、初めて参加した勉強会で受けた衝撃をそう振り返ります。魚に日々ふれながらも、日本の水産資源が枯渇している、魚が減っていると感じたことはなかったと言います。

「日本料理の世界では、いい魚をどれだけ使うかが勝負という時代でした。でも、その日から食材への考え方がガラリと変わりました」

もっと知りたい──。堀内さんは知人を誘って、次の勉強会にも参加しました。それは、2018年に「御料理ほりうち」を開いて少し経った頃のことでした。

「お店をはじめたばかりで、自分が何者かよくわかりませんでした。当時は、自分はどういう料理人か、自分の料理とは何か、を自問自答していました。そんなときに出会ったサステナブルシーフードの世界、Chefs for the Blueの活動が、私の興味や関心、生き方にきれいにはまったんです」

勉強会をきっかけに、Chefs for the Blueに入ることになりました。メンバーでは唯一の女性シェフです。「何かができるというよりも、何が起こっているのかをまず知りたかったです」

未利用魚? 磯焼け? サステナブル? TAC管理? ASC? コロナ禍だった当時、メッセンジャーで飛び交うメンバーたちの言葉は初めて聞くものばかり。そのたびに調べることを繰り返したといいます。「コロナ禍が明けて、初めてみんなで集まった頃には、話の内容がわかるようになっていました」。当時を思い出して安堵の表情を見せます。

そんな堀内さんはいまでは、Chefs for the Blueの活動を通して知る情報だけでなく、自ら情報を調べるようになったと言います。最近福井県のイベントに招かれた折には、資源管理について聞きたいと願い出て、地元のカニの底引き網漁の船団長を訪ねたそう。仕込み中、水産政策審議会のオンライン中継を聞く日もあると話します。

「Chefs for the Blueとして活動するうえで、知識が偏ったり、思い込んだりすることのないように気をつけています。いろいろな角度からの情報を常にどんどん上書きするようにしています。それは、お客様にサステナブルシーフードの話をおもしろいと思ってもらい、興味を持ってもらうためにも大事なことだと思っています。それが私たちの使命であり、できることだと思うんです」

広い視野をもって情報をとる重要性は、Chefs for the Blueの学生向け育成プログラム「THE BLUE CAMP」に2024年度のメンターシェフとして参画し、参加する学生たちと接するなかで気づいたことです。常識を疑い、調べ直し、積極的に意見を交わす学生たちの様子を見て、考え続ける大切さを改めて実感したと言います。

お店では、魚についてどんな風に伝えているのでしょうか。尋ねると、落語家も顔負けの小気味よいリズムで、サバやサンマの資源管理について話してくれました。情報量の深さを含めて、思わず聴き入ってしまいました。

「学ぶことも料理の一部です。私たち料理人もサステナブルシーフードを楽しむことで、お客様にも楽しんでもらえると思います」

食材の選びかたについては「あんまりNGをつくらないようにしています」と話します。基本的には長年、付き合いのある魚屋さんから魚を買うそうです。女性という理由で魚を簡単に売ってもらえない厳しい世界で、魚を売ってくれた魚屋さんを大切にしています。

「使う魚介類は資源量を調べて、使うかどうかをしっかり考えます。そのうえで、じゃあ今年は使う量を減らそうと判断します。食べない、使わないではなく、食べ続けるためにどうしたらいいか。食材を使うことを通して考え続けています。それに、魚介類を使わずにその大切さを伝えるのは難しいです。食文化がゼロにならないように、使い続けることが大事だと思っています」

Chefs for the Blueを通じて知り合った仲買人の長谷川大樹さんから魚を買うこともあります。長谷川さんが送ってくれる未利用魚をつかったお吸い物やお刺身の盛り合わせを供すと、聞いたこともない魚の名前に「お客様が一瞬ピタッと止まって、シーンとするんです。興味深いです」と満面の笑顔を浮かべます。言葉通り、サステナブルシーフードを楽しんで使っている様子が伝わります。

自分は何者か──。堀内さんはいまも問い続けていると言います。

「Chefs for the Blueの活動に参加すると前と後で、自分の料理がすごく変わってきたと感じています。いまも変わっている最中です。これまで積み重ねてきたことと、Chefs for the Blueでの活動が混ざりはじめている状態です。それを消化して、どういう形にしていくか。料理人として私は何者なんだろうとすごく考えることがあります。自分は合っているか、間違っていないか。常に確認しながら進んでいるのが、まさにいまです」