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メンバーインタビューVol.30 Droit 森永 宣行

「まじめなメッセージを伝えるときでも、レストランのなかに“色気”がなくなってしまうのは違うと思います。美味しさ、美しさ、そして笑顔に乗せて届けたいです」

C-BlueメンバーインタビューVol.30は、京都のフランス料理店「Droit(ドロワ)」の森永宣行さんです。フランス語で「まっすぐ」を意味する店名を掲げる森永さんは、「愛のあるものをまっすぐに届けたい」と話します。今年、Droitは日仏の交流機関「関西日仏学館」に店を移しました。料理を通して両国をむすぶ新しい役割を担おうとする森永さんに、Chefs for the Blueの活動への思いを聞きました。

「『美味しんぼ』の海原雄山のような人」という、食にこだわりのある父親の影響で、森永さんは子どもの頃から美味しいものが好きでした。料理人になろう。そう決意したのは、パンクバンドの活動に熱中していた大学時代。ゼミでは、日本で生まれた前衛芸術「暗黒舞踏」をまなんでいたといいます。友達が集まる場で料理をふるまう楽しみを覚え、アルバイトをしては食べ歩きをするなか出会ったのが、フランス料理でした。

「食事だけではない、レストランの持つ総合的な力に度肝を抜かれました。長い髪をバッサリ切って丸坊主にして、一番感動した店に『修業させてください』とお願いしに行きました」

森永さんが海の問題を気にかけるようになったきっかけは、サンマの不漁でした。2017年に京都御所東で「Droit」をオープンし、サンマをつかったスペシャリテを提供しはじめたものの、翌年からサンマがほとんど市場に出回らなくなり、その状況は次の年も変わりませんでした。

「サンマが獲れないこともそうですが、サンマがないことがふつうになり、何事もなかったかのように世界がまわっている。その現実に怖さを感じました」

ちょうどその頃、同じく京都でレストランを開く「cenci(チェンチ)」の坂本健シェフに誘われ、Chefs for the Blue京都の活動に参加するようになります。料理人として、まずは現状を知ろう。そう思ったと話します。

「海の状況は想像していた何倍も深刻でした。これだけ海に囲まれている国にもかかわらず、資源管理が遅れていることにもショックを受けました。それでも、耳を傾け、目を向け、小さな取り組みをはじめることが、大きな動きにつながっていくと思います」

Chefs for the Blueに参加するようになって、「魚介をつかう量が増えた」と話す森永さんは、海苔がもともと好きで、海藻も積極的につかってきました。

なかでも注目するのが、「ダルス」と呼ばれる紅紫色の海藻です。アイルランドやイギリスなど大西洋沿岸に自生し、サラダやスープなどにつかわれてきたダルスは、栄養価の高さからスーパーフードとしても知られています。日本でも北海道などの冷たい海に生息していますが、漁具や養殖のロープに付着するものは捨てられ、食材としては利用されてきませんでした。

「ダルスを丁寧に乾燥させると、紅茶のような香りになります」

森永さんはこれまで、ダルスをつかってアイスをつくったり、「THE BLUE FEST」ではダルスとイワシをつかったそば粉のガレットを提供したりしてきました。料理を通して海藻の可能性を伝えることで、海藻の需要が増える、そういう良い循環を生み出したいと考えています。