「海や湖からバケツ1杯の水を汲んできて調べれば、その水域にどんな魚がどれだけ生息しているかが分かる」。そんな夢のような技術があることをご存じでしょうか。
これは「環境DNA(eDNA)解析」と呼ばれる生物調査法。2015年に日本で開発された環境DNAメタバーコーディングという手法によって、水中に浮遊する動植物の排せつ物や組織片に由来するDNA断片、つまり環境DNAを解析することで、簡単に、かつ大規模に、種のデータを得ることができる技術です。

(上:採水作業の様子。注射器様の器械で水をフィルターに通し、浮遊する環境DNAを収集する)

いろんなハードルからなかなか進まない日本の水産資源データの収集・解析に、この手法が役立つ可能性があると聞いてしばらく、詳しく知りたいと思っていたところ、なんと日本中から研究者が集まる環境DNA学会のシンポジウム登壇という得難い機会を佐々木がいただきました。

登壇パネルのトークテーマは「環境DNAで生き物、食文化・アウトドアを楽しもう!」。これは、環境DNA解析技術の利用可能性をさまざまに提示したいというアカデミアの皆様の思いからとのこと。実際、欧米ではどんどん産業利用が増えているのだそうです。
今回はプレイベントとしての採水体験(エクスカーション)から参加したこともあり、国内外の研究者はもちろんメーカーや金融関係者など、集結されていたさまざまな分野の方々との意見交換ができ、本当に学びの多い3日間でした。
お声をかけてくださった本大会の大会長、九州大学大学院 工学研究院 環境社会部門 生態工学研究室の清野聡子先生ほか、運営スタッフの皆様に心からお礼申し上げます。

●関連リンク
環境DNA学会
https://ednasociety.org/
●担当メンバー
佐々木ひろこ