
担当シェフインタビュー
北海道ホタテの国内消費を促進し、そのサステナブルな価値を伝えることを目的に開催した、「やさしーフード!北海道ほたてフェア」。旗やパンフレットを活用した視覚的な訴求とともに、お客様との対話を通じて、ホタテが環境に配慮した食材であることを伝える機会となりました。フェアに参加したシェフたちの声をもとに、ホタテの新たな可能性と今後の展望を探っていきます。
【ラチュレ】室田拓人シェフ

ホタテと野生茸のフリカッセが生み出す新たな味わい
【LATURE】にて提供したのは、「ホタテと野生茸のフリカッセ」。火を入れることで甘みや香り、食感を引き出した北海道ほたてを、猪肉のベーコンと野生の茸とクリーム煮にし、さつまいものピューレとキノコパウダーで作ったチュイルを添えました。山のものと海のものをバランスよく組み合わせた一皿です。室田シェフらしさが詰まった一品です。山の恵みと海の恵みが調和した、室田シェフらしい一皿です。

フェアを通じて見えたホタテの可能性
アレルギーや苦手な食材があるお客様への対応として、ホタテを常備しているという室田シェフ。日頃の営業においても、圧倒的な人気と親しみやすさを感じていました。
フェアを通して室田シェフは「ホタテのサステナブルな価値を知らないお客様がほとんどだった」と振り返ります。養殖方法や環境負荷の低さについて説明すると、「ホタテって天然じゃないの?」「どうやって養殖するの?」という驚きとともに興味を持つ方が多くいました。
「ホタテはスーパーでもよく見かける身近な食材ですが、生産の背景を知る機会は少ない。これを知ることで、ホタテへの評価や付加価値が大きく変わると思います」
国内消費拡大への展望
今回、【モニカ】で提供したホタテパイは、百貨店の催事でも人気があり、必ず売り切れる商品でした。高級食材として、一定の認知があるからこそ、百貨店での催事やふるさと納税といった、ハレの日を活用した、消費拡大の取り組みにも可能性を感じています。

「ホタテは供給が安定していて、通年使える食材です。和洋中、どんな料理でも合う万能食材だからこそ、料理人のオリジナリティを表現することができる貴重な食材です。使いやすさに合わせて、サステナブルシーフードの代表としての価値を伝えていくことで、北海道ほたてを使うシェフがもっと増えるはずです。」
【ドンブラボー】平雅一シェフ

北海道ほたてのうま味をを活かしたピザ
今回の「ホタテのピザ」は、北海道ほたてのうま味や甘味を最大限に感じてもらえるよう工夫しました。ホタテは繊細な食材なので、クリーム系など濃厚なソースでその美味しさを100%伝えるのは難しい。そこで、じゃがいも、チーズ、生ハムといったシンプルな組み合わせにし、生ハムの塩味でホタテの甘味を引き立てました。さらに、ホタテから作ったホタテマヨネーズを加えることで、北海道ホタテの美味しさをよりわかりやすく味わえるようにしています。

お客様との会話から得た、ホタテの魅力
「ホタテは誰もが知る食材ですが、養殖方法やサステナブルな一面を知っている人は少ない。実は環境に優しい食材であるという事実に、お客様も驚かれていました」と話す平シェフ。
特に、料理を味わった後に「実はホタテはサステナブルなんです」と伝えることで、より深い印象を与えられたといいます。ピザの上に、立てたフェアのピックと小冊子も、ホタテのサステナビリティをお客様に印象付けるアイテムとなりました。

シェフとしてできることは、「おいしさを保証しながら、付加価値を伝えること」
今回の取り組みを通して、社会の中でのシェフの役割がより浮彫になりました。家庭の食卓では、少し高価なイメージがあるホタテですが、レストランや大手チェーン店での採用を増やすことが、消費拡大には有効だといいます。
「シェフのお店で食べたホタテが『美味しかった』」その体験をきっかけに、外食の際にホタテを選択する機会が増えていくよう、シェフである僕たちはおいしさを保証しながら、ホタテの付加価値を伝えていかなければいけないと思います。」
【洋食おがた】緒方博之シェフ

ありそうでなかった ホタテの魅力を伝えるメニュー
普段はLもしくは2Lサイズのホタテを使っていた緒方シェフですが、今回提供したホタテフライでは、小ぶりな一口サイズのホタテを使い、北海道ほたてのおいしさをストレートに伝えられる工夫をほどこしました。
ホタテの旨みを薄づきの衣でしっかりと閉じ込めることで、一口で頬張った際に、口の中でホタテのジュースが広がるように仕上げています。揚げすぎると旨みが衣の外に漏れるため、その直前で引き上げ、提供した際にちょうどよい火入れとなるように、緻密な工夫がされています。

一口でホタテの旨みを存分に味わえる、緒方シェフ特性のホタテフライに虜になったお客様も多く、フェアが終わったあとも、『ホタテフライを定番メニューに入れてほしい』という声が多数あったといいます。
家庭でも取り入れやすいホタテの可能性
「ホタテは卸す必要もなく、冷凍保存ができ、幅広い料理に使える万能な食材」と評価する緒方シェフ。特に、フライ用に下ごしらえされた冷凍ホタテの開発が進めば、より多くの家庭でホタテフライが取り入れられると期待しています。「1口サイズのホタテフライは、調理の手軽さと食べやすさが魅力。冷凍食品としての商品化も視野に入れていきたい」と意欲を示しました。

洋食店としての今後の展望
日常に馴染んだ食材だからこそ、ホタテメニューがあると、つい選んでしまうお客さんも多いのではと話す緒方シェフ。「うちがホタテフライを定番メニューとして提供し続けることで、同じようにメニュー化する洋食店が増えたら嬉しいです」と話します。お子様ランチのエビフライがホタテフライに変わることで、食育の観点からも、新たな学びを与えられるのではとも話し、ホタテフライの可能性が一気に広がりました。